アメリカ航空宇宙局(NASA)とドイツ航空宇宙センター(DLR)が共同運用する「空飛ぶ天文台(SOFIA)」が2022年9月30日、運用を終了します。機体後部に縦4メートル、横6メートルのドアを備え、2.7メートルの反射望遠鏡を搭載する世界に1つしかない機体です。成層圏の38,000フィートから45,000フィートに上昇し、10時間ほどの夜間飛行で、宇宙磁場、天の川の構造など、さまざまな観測・研究を実施しています。この機体、実は製造数が少なくて珍しいボーイング747SP型機をベースにしています。
747SPは、ボーイング747で初期に開発された747-100、日本国内線向けに製造された747SRに続き、長距離飛行が可能な派生系として開発されました。1機目が1975年に初飛行し、1989年に計45機で製造を終えています。日本路線には、ローンチカスタマーのパンアメリカン航空が導入していました。
製造終了から30年以上が経ち、多くの会社が定期便から退役させました。2022年9月現在、現役機はSOFIAを含め、4機です。長距離飛行が可能で少ない旅客を想定し、第2の人生としてVIP機や特別な機体として生まれ変わっています。そのうちの1機は、ラスベガス・サンズが使用するVIP機「VP-BLK(機体記号)」で、日本にもたびたび飛来しています。
残る2機は、プラット・アンド・ホイットニー(P&W)がエンジン開発時の試験機として747SP「C-FPAW」「C-GTFF」を使用しています。三菱航空機が開発していたMRJ(スペースジェット)に搭載されたPW1200Gエンジンの開発でも使用されました。
747SPは、製造数が少ないだけでなく、747-400をはじめとする747シリーズの機種と違い、ずんぐりむっくりしたフォルムに愛らしさがあります。現役の4機には、今後も活躍し、その愛らしい姿を日本でも見せてほしいです。