ハワイアンの滑走路誤進入、「Hold position」の聞き違えと確認不足

ハワイアンの滑走路誤進入、「Hold position」の聞き違えと確認不足

運輸安全委員会は2014年6月27日、ハワイアン航空の767-300、機体記号(レジ)「N588HA」が滑走路に誤進入し、重大インシデントとして調査していた件の報告書を発表しました。これによると、ハワイアン航空の機長はじめ、コクピットの3名が管制官の指示を聞き違え誤解したこと、管制官が用語が異なっていたことを認識しつつ、確認を行わなかったことが重なって発生したと指摘しています。

この重大インシデントは2011年10月12日、21時37分ごろに関西空港のA滑走路、06Rで発生しました。全日空(ANA)の767-300のレジ「JA8356」、NH8519便の貨物便が着陸した後、待機しているはずのハワイアン航空のホノルル行きHA450便が離陸する順番で管制官が指示していましたが、ANAが着陸復行しました。航空法施行規則第166条の4第2号の規定に「他の航空機が使用中の滑走路への着陸の試み」に該当する事案として調査されていました。

管制官は「Hold position (待機せよ)」と指示したものの、機長は「Position and hold (滑走路上で待機せよ)」の管制用語と聞き間違え、滑走路に入ったと述べており、ハワイアン航空のコクピットの3名ともが同様の意見でした。

「Position and hold」はアメリカなど一部の国のみ使用された過去の用語で、日本においては使用されないことを、ハワイアン航空の運航乗務員は十分に認識していませんでした。これを受け、ハワイアン航空は当時、乗務していた3名の運航乗務員に対し、国際飛行方式に関する滑走路安全、標準管制用語、管制方式、管制通信、クルー・リソース・マネージメントについて再教育訓練を実施、他の国際線の運航乗務員にも、ICAO用語の使用、コミュニケーション方法を指導する国際線飛行方式のコースを開設、教育を行いました。

国土交通省でも2012年5月3日付のAIP(航空路誌)で、管制承認、管制指示、管制許可に対するパイロットの復唱要領を記載し、待機指示は「HOLDING」、「HOLDING SHORT OF」などの適切な用語を省略せずに使用することを明記しました。

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