JAXA、ソニックブームの低減技術を飛行実証 コンコルドでは半減

JAXA、ソニックブームの低減技術を飛行実証 コンコルドでは半減

ニュース画像 1枚目:D-SEND#2 超音速試験機
© JAXA
D-SEND#2 超音速試験機

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2015年10月27日、スウェーデン・エスレンジ実験場で2015年7月24日に実施した低ソニックブーム設計概念実証プロジェクト第2フェーズ試験(D-SEND#2)で計測したソニックブーム波形を解析、全機低ソニックブーム設計技術を世界で初めて飛行実証したと発表しました。

ソニックブームは、超音速機から発生する衝撃波が地上で衝撃音として感じられる現象です。次世代超音速旅客機を実現するための最重要課題の1つとして、この衝撃音の低減が世界的な共通認識となっており、JAXAは独自のソニックブーム低減技術で、実現性を今回の飛行試験で実証し、ソニックブームの国際基準策定に貢献できる技術やデータを獲得したとしています。

今回の実験は、機体が安定した飛行状態で、先端と後端のソニックブームを同時に低減することを実証した例は世界で初めてでした。コンコルドに今回の結果を当てはめると、ソニックブームはおよそ半分に低減でき、JAXAが検討している50人規模の小型超音速旅客機では、コンコルドの4分の1に低減できる結果となりました。

さらに、今回の試験で計測したデータは当初、想定し得なかった大気乱流の影響が含まれており、JAXAは新たに解析ツールを開発、詳細なデータ解析を進めています。大気乱流が低ソニックブーム波形に与える影響を解析した例はなく、この分析も世界で初めてとなります。

JAXAは今後、国際民間航空機関(ICAO)に試験結果の報告し、ソニックブームの国際基準策定に向けた技術的な議論、検討を加速させ、将来の超音速旅客機の実現を産業界と推進しするとしています。

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