宍道湖でフロート付きセスナ事故、報告書で飛行前に離水性能の確認求める

宍道湖でフロート付きセスナ事故、報告書で飛行前に離水性能の確認求める

ニュース画像 1枚目:「JA007P」の離水滑走状況、現場見取図
© 運輸安全委員会
「JA007P」の離水滑走状況、現場見取図

運輸安全委員会は2018年1月25日(木)、島根県松江市の宍道湖で2017年4月15日(土)に発生した水陸両用機、セスナT206Hの機体記号(レジ)「JA007P」の事故報告書を発表しました。事故当時、当該機は慣熟飛行のため、鳥取空港へ向けて宍道湖から離水滑走中で、大きな波と衝突して機体が中破し、フロート部分が脱落したことで水没しました。

報告書では、離水滑走中の気象状況や水面の状況などを勘案し、飛行規程から事故発生時に近い条件の離水滑走距離は502メートル、50フィートの障害越えまでの離水距離は812メートルと指摘しています。

中破する原因となった大きな波との衝突までの離水滑走距離は約500メートルで、直前に機長は間もなく浮揚すると感じていたことを報告書では明記しています。ただし、離水に必要な距離は50フィートの障害越えの812メートルで、この距離に至る前に波と衝突し、機体損傷に至ったと推定しています。

この事象に至る要因として、離陸前に機長が同乗者やほぼ満載状態の燃料といった機体重量をよく考慮せず、これまでの経験から、風上側の地形で風浪が抑えられている水域を離水滑走することで浮揚できると考え、飛行規程の離水性能の812メートルを事前に確認しなかったと指摘しています。

さらに、機長が飛行前の準備を開始した10時ごろと比べ、搭乗を開始した11時ごろは風が強くなり、離水直前のシーステートが変化し、特に沖合の波高は大きくなっており、機長がこの変化を認識していなかった可能性も事故を誘引した要因にあげています。

報告書では、同種の事故防止策の一般論として、飛行前に気象条件、シーステート、機体重量等を考慮した離水性能の確認と、要件を満たす水域の確保、離水滑走の開始前に、風向風速、シーステート等の条件が、計画時点と変化がないかを確認、離水滑走中の機体や加速状況に応じて異常を感じた場合の離水中止を求めています。

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