セスナ172Pの立山連峰での事故、雲中飛行で状況把握が困難に 着氷も

セスナ172Pの立山連峰での事故、雲中飛行で状況把握が困難に 着氷も

運輸安全委員会は2018年8月30日(木)、2017年6月3日(土)に発生したセスナ172Pが立山連峰獅子岳の山頂付近、標高およそ2,700メートルに衝突した事故について報告書を公表しました。事故機は富山空港から松本空港に向かっていた新中央航空が保有するセスナ172、機体番号(レジ)「JA3989」で、機長、他の操縦士と同乗者2名の計4名が搭乗していましたが、全員が死亡しました。事故は、機長が持っていた携帯電話から新中央航空の松本運航所に同乗者からの救助を求める連絡で発覚しまた。

当日、この機体は山岳地帯を有視界飛行方式で飛行中、雲中飛行となったと考えられ、機長と操縦士とも地表を視認して自機の位置や周囲の状況を把握することが困難となり山頂付近に近づき、衝突したものとみています。山頂付近に近づいて衝突した要因として、(1)視界を失い衝突を回避できなかった、(2)機体着氷で高度の維持ができなくなった、または失速した、(3)強い乱気流に遭遇した可能性、をあげていますが、搭乗者全員が死亡したため特定できないとしています。

さらに、雲中飛行になった要因について、機長と操縦士Aによる出発前の山岳地帯の気象予測が不十分であったこと、飛行中の引き返しの決断が遅れたことを指摘しています。雲中飛行と断定したことは、運輸安全委員会が当日の航空気象に加え、立山町役場、弥陀ヶ原のライブカメラの映像で確認しています。

この事故調査の結果を踏まえ、運輸安全委員会は、国土交通大臣に被害の軽減のため4点の施策を講じるよう勧告しています。(1)操縦士に、着氷気象状態での飛行が認められていない航空機への着氷は極めて危険で、着氷気象状態での飛行は絶対に避けなければならないことを周知、(2)小型機の操縦士に、シートベルトとショルダーハーネスの着用を励行と同乗者にシートベルトなどの着用を指導、(3)小型機の使用者にELTの適正な取付と運用方法に関する情報提供、(4)捜索救難の関係省庁担当者会議などの場で、関係機関に、捜索救難活動中の捜索救難機による捜索救難周波数の聴取が的確に行われるよう要請、の項目です。

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