上野村でのAS332L墜落事故、点検と整備でボルト不具合が把握されず

上野村でのAS332L墜落事故、点検と整備でボルト不具合が把握されず

ニュース画像 1枚目:事故報告書の説明資料
© 運輸安全委員会
事故報告書の説明資料

運輸安全委員会は2020年4月23日(木)、2017年11月に群馬県で発生した東邦航空のAS332L「JA9672」の墜落事故について、調査報告書を公表しました。

この事案は2017年11月8日(水)、「JA9672」が機体空輸のため山梨県の新倉場外離着陸場から栃木ヘリポートへ飛行中、群馬県多野郡の上野村上空でテールローターが機体から分離、墜落して大破炎上しました。搭乗していた操縦士、整備士の計4名が死亡しました。

報告書は、飛行中の「JA9672」の機体に、異常な振動が発生したことから、非常着陸を試みた際、テールローターが機体から分離し、操縦不能となり墜落したとみています。また、テールローターが機体から分離したのは、白色のテールローター・ブレードのフラッピングヒンジのスピンドルボルトが破断、テールローターの回転が不安定になり、過大な振動が生じて取付構造が破壊したとみています。スピンドルボルトの破断は、フラッピングヒンジ部のベアリングが損傷して固着したことと推定しています。

今回の事故は、「JA9672」の点検と整備で、スピンドルボルトの不具合が把握されていなかったこと、エアバス・ヘリコプターズが発行したグリースの使用に関する情報が周知されておらず、高音多湿の環境で駐機した場合の整備作業が実施されていなかったことが関与した模様です。

これを受けて運輸安全委員会は東邦航空に対し、整備点検でマニュアルに記載されていない損傷などを発見した場合、設計・製造者の指示で処置を実施すること、設計・製造者から通知された整備上の情報は技術検討を経て、整備士に周知するよう勧告しています。

東邦航空は、事故で亡くなった社員4名のご冥福、遺族へ哀悼の意を表し、事故現場の上野村と関係者に改めて陳謝しています。報告書の公表を受け、すでに取り組んでいる再発防止策に加え、さらなる対策と改善を図り、安全・安心・信頼の回復に努める方針です。

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