イギリス空軍、タイフーントランシェ1・ホーク・BAe146など退役

イギリス空軍、タイフーントランシェ1・ホーク・BAe146など退役

ニュース画像 1枚目:イギリス空軍の保有機
© UK.GOV
イギリス空軍の保有機

イギリス国防省は2021年3月22日(月)、今後5年間の国防計画「Defence in a competitive age(競争の激しい時代の防衛計画)」を公表しました。イギリス空軍が王室向けに運航していたBAe-146は計画通り2022年までに退役させることが明記されました。王室向けの代替機の運航については、特に言及がありません。

この計画では、特にデジタル化が進む中で実用に耐えられない古い機材機体を退役させ、効率性を改善する方針を明記しています。退役機種としてあげられたのは、ユーロファイター・タイフーンのトランシェ1、ホークT1、BAe146、C130ハーキュリーズ、E-3Dセントリーです。

このうち、タイフーン・トランシェ1は保有する50機超のうち、およそ半数が2025年までに退役すると見られます。タイフーンのトランシェ2、トランシェ3などが主力機となっており、古いコンピュータを搭載したトランシェ1の一部機材は退役させます。退役により余裕の生まれる予算は、トランシェ2、トランシェ3へのイギリスが開発した空対地ミサイル「SPEAR 3」の搭載、アクティブ・フェーズドアレイ・レーダーの搭載などに充当されます。

ホークT1訓練機は2025年までに退役させます。有能なパイロットをこれまでより早く育成するため、新たな軍用の飛行訓練を強化する方針も同時に示しています。ただし、ホークを使用するアクロバット部隊「レッドアローズ」の機材は、2030年まで運用する計画です。

C130ハーキュリーズは、導入が進むA400Mアトラスの導入が進み、2023年までに退役させる予定です。イギリスはすでにC-130Jの運用が可能な機材をアメリカ海軍をはじめ、バーレーン、バングラデシュに売却しており、一連の退役を完了させる計画です。

さらに空中警戒管制機では、ボーイング707をベースにしたE-3Dセントリーを2021年に退役させます。737をベースにしたE-7Aウェッジテイルは3機を導入する予定で、2023年には新機材が揃う予定です。2019年の契約時には、すでにE-7Aを運用するオーストラリア空軍との協力を深化させる方針を示しており、導入によりNATOへも貢献するとも指摘しています。

第6世代戦闘機と位置付けられる新たな戦闘機「テンペスト」を代表とする「FCAS (Future Combat Air System)」開発には4年間で20億ポンド超、日本円で2,975億円を超える投資を予定しています。テンペストは、無人でも飛行可能で乗員あり・なしで自律型プラットフォームの戦闘機を目指しています。ドローンを制御するスワーミング技術の導入、AIの深層学習の採用、戦闘地域でセンサーデータやメッセージを味方同士で共有して攻撃・防御を調整する能力などを有する機体として概念設計が進められます。

このほか、ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(GA-ASI)が製造するMQ-9Bスカイガーディアンのイギリス空軍むけ仕様「プロテクター」を16機導入する予定です。これは2021年にも受領を開始する予定です。

■イギリス空軍 退役機種
〜2021年 E-3D セントリー
〜2022年 BAe146
〜2023年 C130ハーキュリーズ
〜2025年 ユーロファイター・タイフーンのトランシェ1、ホークT1
※為替計算 1ポンド(GBP) = 約149円
この記事に関連するニュース
メニューを開く