7月23日はオリンピック開会式。新型コロナウイルスの影響により1年延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会がついに開催されます。オフィシャルスポンサーを務める日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)は、招致活動の段階から大会を盛り上げる活動の一環として、様々な特別塗装機を就航。今回はその塗装機を振り返ります。
JAL・ANA「招致塗装機」
招致活動が始まった2012年には、両社ともに「招致塗装機」を発表。
JALは機体後方に、「JALは、東京2020招致のオフィシャルスポンサーです。」のシンプルな文字。そして、五輪カラーである赤・青・緑・黄色と、東京を表す「江戸むらさき」の5色で、日本を象徴する桜の花をリース型に描いた「五輪招致ロゴ」も施されていました。
全日空(ANA)は、機体前方にメッセージ「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。」と力強く記載。その下には「2020年オリンピック・パラリンピックをニッポンで。2013年9月7日、いよいよ開催都市決定!」と、開催都市が決まるIOC総会までのワクワク感を演出しました。
こちらは東京大会の開催が決定する直前5カ月間だけ運航されたラッピング機です。大きく描かれた「TOKYO」と「2020」の文字の間に、日の丸をデザイン。「Japan's bid to host the 2020 Olympic and Paralympic Games in Tokyo」と、大会開催への意気込みを英語で表現しています。
JAL・ANA「東京2020大会」
そして、ついに2013年9月に開催地が東京に決定。大会オフィシャルスポンサーに就任した、JAL・ANAは、共通デザインの「東京2020大会」特別塗装機を発表しました。キャッチフレーズ「心ひとつに!!行こう2020」を掲げ、それぞれ複数機にこのデカールが貼付されました。この塗装からは、「五輪招致ロゴ」に代わり、組市松紋(市松模様)を藍色で円に描いた「東京2020エンブレム」も塗装されています。
これ以降、両社それぞれでオリンピック気分を盛り上げるオリジナル塗装機が登場します。
JAL 「嵐ジェット JAL FLY to 2020」
オフィシャルパートナーに就任後、大会を応援する第1弾として、日本を代表するアイドルグループ「嵐」の大野智さんが「未来への希望」をデザインした塗装機を就航させました。嵐のメンバー写真を囲むように、希望を表現する「花々」、日本らしさを象徴する「富士山」や「四季」、未来に向かって進化する「人」がカラフルに描かれています。
JAL東京2020マスコットデカール
2018年7月に発表された東京2020マスコット「ミライトワ」と「ソメイティ」のデビューを記念して搭乗したデカール機です。機体後方の窓上に「ミライトワ」と「ソメイティ」を配置し、JALロゴと東京2020エンブレムとともに、空から「東京2020大会」を応援しました。JAL「みんなのJAL2020ジェット」1号機
大会を翌年に控えた2019年4月に登場した塗装機です。「ミライトワ」「ソメイティ」を機体後方に大きく塗装。大きく描かれた「TOKYO 2020」の文字の下には、東京の街並みがカラフルに描かれました。
機内では特別デザイのヘッドレストカバーや紙コップを導入し、オリンピックへの気分を高めています。
JAL「みんなのJAL2020ジェット」2号機
同年7月には2号機目が登場。「ミライトワ」と「ソメイティ」が、JALがサポートする東京2020大会の競技をプレーしているイラストがデザインされました。機内でも、6種類の特別ヘッドレストカバーを導入。オリパラの協議をする「ミライトワ」と「ソメイティ」のイラストが描かれています。
ANA「HELLO 2020 JET」
「東京2020機体デザインコンテスト」で公募した中から選ばれた作品を施した特別塗装機です。日本の代表的な建造物や美しい自然を描き、日本らしさを強調。左右で異なる競技をデザインし、どの種目も頑張ってほしいという願いが込められています。
「HELLO 2020 JET」機内では、JAL同様に、特別デザインのヘッドレストカバ−を導入。客室乗務員は特別デザインのエプロンを着用しました。市松模様の東京2020エンブレムをイメージしたデザインです。
JAL・ANA「東京2020オリンピック聖火特別輸送機"TOKYO 2020 号"」
そしてオリンピック開催まで半年を切った2020年3月、JALとANAは聖火リレーサポーティングパートナーとしてギリシャから松島基地まで聖火を輸送するための特別塗装機を就航させました。機体はJALのボーイング787-8型機、機体記号(レジ)「JA837J」ですが、JALとANAと共同での聖火輸送を行った機体で、JAL、ANAを示すロゴが機体前方のランナーのイラスト横に小さく表示されています。
東京2020オリンピック聖火リレーコンセプト「Hope Lights Our Way/希望の道を、つなごう。」を反映し、赤い聖火の炎が黄土色の大地に乗って、垂直尾翼に記された東京2020オリンピック聖火リレーエンブレムへとつながる様子がデザインされています。
JAL「みんなのJAL2020ジェット」3号機
特別塗装機「みんなのJAL2020ジェット」3号機は当初、2020年春の就航を予定していましたが、そういえばと忘れたころの2021年7月20日(火)に登場。新型コロナウイルス感染症の陽性者の動向、医療体制の状況、そしてオリンピック中止の世論もあり、さまざま考慮することを受け、オリンピック開幕直前のお披露目となりました。
コロナ禍の第5波とも言われる中での五輪開催で、出場する選手たちだけでなく、全ての人を明るくできるというJALの想いが込められた金色の鶴丸塗装です。機体の左右にオリンピック・パラリンピックに出場する選手たち、さらに尾翼の鶴丸ロゴも金色。「鶴金」あるいは「金鶴」塗装とでもいうべきでしょうか。暗く不安が多い社会情勢でも、上を向き、明るくさせ、元気がもらえるデザインです。
東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、2012年から就航されてきた特別塗装機。JALとANAは塗装などを通して、4年に一度の大きな大会が東京で開催されるというワクワク感を提供してくれました。新型コロナウイルスの影響により、日本各地はもとより海外からの観戦者・旅行者は当初の予定よりだいぶ減少し、規模が縮小したのは残念ではありますが、一生に一度か二度しかない味わえない日本でのオリンピック・パラリンピック大会。現在、運航されている特別塗装機の写真も記念として、今のうちに撮影しておきたいですね。
航空会社 | 塗装機名称 | 機体記号(レジ) 機種 | 運航期間 |
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JAL | 東京2020招致 特別塗装機 | JA8978 777-200 | 2012年11月 〜 2013年08月 | 嵐ジェット JAL FLY to 2020 | JA751J 777-300 | 2015年06月 〜 2016年04月 | 東京2020大会 「心ひとつに!!行こう2020」 | JA751J 777-300 | 2016年10月 〜 2019年02月 | 東京2020大会 「心ひとつに!!行こう2020」 | JA603J 767-300ER | 2016年10月 〜 2019年02月 | 東京2020大会 「心ひとつに!!行こう2020」 | JA773J 777-200 | 2016年10月 〜 2019年03月 | 東京2020大会 「心ひとつに!!行こう2020」 | JA350J 737-800 | 2016年11月 〜 2019年02月 | 東京2020マスコットデカール | JA009D 777-200 | 2018年07月 〜 2019年11月 | みんなのJAL2020ジェット1号機 | JA773J 777-200 | 2019年04月 〜 2021年02月 | みんなのJAL2020ジェット2号機 | JA601J 767-300ER | 2019年07月 〜 2020年11月 | 東京2020オリンピック聖火特別輸送機 TOKYO 2020 号 | JA837J 787-8 | 2020年03月 〜 2020年05月 | みんなのJAL2020ジェット3号機 | JA06XJ A350-900 | 2021年07月 〜 |
ANA | 2020オリンピック・パラリンピック東京招致 「今、ニッポンにはこの夢の力が必要だ。」 | JA8357 767-300 | 2012年11月 〜 2013年09月 | 2020オリンピック・パラリンピック東京招致 「TOKYO 2020」 | JA734A 777-300 | 2013年03月 〜 2013年08月 | 東京2020大会 「心ひとつに!!行こう2020」 | JA8677 767-300 | 2016年10月 〜 2019年04月 | 東京2020大会 「心ひとつに!!行こう2020」 | JA745A 777-200ER | 2016年10月 〜 | HELLO 2020 JET | JA741A 777-200 | 2018年01月 〜 |