ANAが導入したA380、日本の空での軌跡

ANAが導入したA380、日本の空での軌跡

ニュース画像 1枚目:807番スポットに到着したFLYING HONU
© FlyTeam ニュース
807番スポットに到着したFLYING HONU

2年前(2019年/令和元年)の5月24日(金)、全日本空輸(ANA)が満を持して成田/ホノルル線の定期便にエアバスA380型機を投入しました。このA380は日本の航空会社として初めて導入されたA380であり、定期便でホノルルに就航する初のA380でもありました。現在、新型コロナウイルスによって全日空(ANA)が計画した3機体制は実現していません。それでも、A380による遊覧飛行はコロナ禍だからこそ楽しめるエンターテインメントとして人気を集めています。そのANAのA380にまつわることを振り返ってみます。

成田空港で乗れる・見れるA380たち

成田発着のA380定期便として11社目に、ANAが成田/ホノルル線に世界で最も巨大な旅客機を投入しました。A380を新造機として導入した航空会社はANAを含め14社で、その多くがこれまでに成田線に投入しています。成田空港で最初にA380が定期便としてお目見えしたのは、2008年のこと。ローンチカスタマーのシンガポール航空が、成田/シンガポール線で投入しました。

ニュース画像 1枚目:シンガポール航空、A380 (naritadaisukiさん撮影)
© FlyTeam naritadaisukiさん
シンガポール航空、A380 (naritadaisukiさん撮影)

シンガポール航空を皮切りに、成田空港は対応可能な施設が整備されていることから、短期的な運航を含め、各社が成田線にA380を投入しました。成田に飛来した最後の年月順に見ていくと、エールフランス航空、ルフトハンザドイツ航空、大韓航空、カンタス航空、マレーシア航空、アシアナ航空、タイ国際航空、シンガポール航空、エミレーツ航空と続きます。中国南方航空はコロナ禍にA380を成田線に投入し、現在も運航している希少な例です。このほか、ダイバートでエティハド航空が成田空港に飛来したことがあります。ブリティッシュ・エアウェイズとカタール航空のA380は飛来したことがありません。

ニュース画像 2枚目:日本では見ることができなかったカタール航空のA380 (ぬいぬいさん撮影)
© FlyTeam ぬいぬいさん
日本では見ることができなかったカタール航空のA380 (ぬいぬいさん撮影)

コロナ前にA380で定期便を運航していた航空会社は、エミレーツ航空、シンガポール航空、タイ国際航空、アシアナ航空、マレーシア航空で、この5社に加え、ANAのA380が成田空港で日本人に人気の旅行先、ハワイ行き専用機として使用されていました。A380でハワイ旅行を計画している人も多い時期でしたが、2020年のコロナ禍によりハワイだけでなく、海外・国内ともに旅行しにくい時を迎えています。

■成田に飛来実績のある航空会社 (年月は最後の飛来時)
・エールフランス航空:2014年5月
・ルフトハンザドイツ航空:2015年12月
・大韓航空:2017年11月
・カンタス航空:2019年10月
・マレーシア航空:2020年1月
・タイ国際航空:2020年2月
・アシアナ航空:2020年2月
・エミレーツ航空:2020年3月
・シンガポール航空:2020年3月
・中国南方航空:運航中
<ダイバート>
・エティハド航空:2019年9月
<飛来実績なし>
・ブリティッシュ・エアウェイズ
・カタール航空

ホノルル初のA380「定期便」はANA

ANAのA380が成田からホノルルに向かい飛行したのは、定期便に投入される前の2019年4月17日(水)。これはホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港がA380の受け入れ対応を整え、実際に旅客を乗せて運航する前に空港の設備確認のためでした。

ニュース画像 3枚目:ANA、A380の2号機 (kotaちゃんさん撮影)
© FlyTeam kotaちゃんさん
ANA、A380の2号機 (kotaちゃんさん撮影)

ホノルルに就航していた定期便で使用されていた機材で、A380が就航するまで最も大きな機材は大韓航空のボーイング747-8インターコンチネンタルでした。747-8は、ボーイング747-400型などと共通性がありましたが、A380ではスムーズな搭乗を実現するため、1階と2階にそれぞれ直接乗り込む搭乗橋が整備されました。ANAもこのA380用にホノルルにANAスイートラウンジとANAラウンジを整備し、上級クラスを利用する旅客向けに投資し、快適性を高めました。それを受け、ANAが2019年5月24日(金)、満を持して成田/ホノルル線にA380で初の定期便を運航しました。

この成田/ホノルル線で投入されたA380をあえて「初の定期便」と記していますが、勘の良い方はお分かりのことと思います。現在の名称に変更される2017年4月以前のホノルル国際空港として運営されていた時、A380が飛来したことがあるためです。

ニュース画像 4枚目:Love at First Flightのタグラインが記されたA380 (quicksilverさん撮影)
© FlyTeam quicksilverさん
Love at First Flightのタグラインが記されたA380 (quicksilverさん撮影)

エアバスが世界各地を巡るフライトを2012年12月に運航し、ハワイアン航空がホスト役となり、エアバスのA380試験飛行機の機体記号(レジ)「F-WWDD」を受け入れました。この機体は、胴体に「A380」を記し、「3」の部分をハートを横にして表現。「Love at First Flight」のタグラインと共に、世界でA380の良さをアピールした機体でもありました。

このエアバスより前にA380がホノルルに飛来した事例があります。カンタス航空の定期便がホノルルにダイバートで着陸したものです。1度目は2011年2月にシドニー発ロサンゼルス行き、2度目は2012年4月にロサンゼルス発メルボルン行きがいずれもで急患発生のため、ホノルル国際空港にダイバートしています。ANAが定期便を就航する前から、受け入れた経験もあり、定期便就航を前に空港施設の整備を経て、フィットチェックを経て万全の状態でANAのA380による定期便が就航したのです。

A380を遊覧飛行で楽しむ!

ニュース画像 5枚目:ANA、A380によるチャーターフライト専用サイト
© ANA
ANA、A380によるチャーターフライト専用サイト

コロナ禍の現在、A380は多くの乗客が乗せられることが逆に不利になり、多くの航空会社は退役させたり、モスボール状態にしています。その中でもANAは、定期的にフライトに使い、遊覧飛行を企画しています。世界で保有する14社でも、A380を遊覧飛行に使用しているのは大韓航空、アシアナ航空、エミレーツ航空です。その中でもANAは頻度を高く運航しており、ハワイ路線に今後も投入するため、機内食をホノルル線で提供するものをアレンジするなどして楽しめる企画を展開しています。

A380での遊覧飛行は、短い時間ながらも国際線に搭乗するより割安に楽しめる企画のため、人気が高いものとなっています。2020年8月と9月に実施した遊覧チャーターは、販売数に対して約110倍を超える応募が集まるという人気ぶり。さらに機内で過ごす時間を長くという要望に応え、当初の約90分から約3時間に飛行時間に延ばしています。

A380を使用する場合、成田発ホノルル行きの場合はおよそ7時間、ホノルル発成田着の場合は9時間15分の飛行時間。このため、遊覧飛行で3時間は往路の半分近く、復路でも3分の1の時間を満喫できることになります。また、遊覧飛行ではボーディングの時間も楽しみの1つで、「これから出かける」「これからハワイ!!」と高揚する気分も楽しめます。

ニュース画像 6枚目:ANA「JA383A」
© AIRBUS
ANA「JA383A」

コロナ禍で当初予定していた3機目の日本到着は遅れていますが、ANAは2021年度に導入すると発表しています。現在はエアバスの工場があるトゥールーズで保管されています。ANAのA380は3機が全て異なるカラーを採用しており、1号機は「空」をイメージしたANAブルー、2号機はハワイの「海」をイメージしたエメラルドグリーン、3号機はハワイの「夕陽」をイメージしたサンセットオレンジです。3機揃うA380をもし成田で見ることができた時は、コロナも落ち着き、ハワイへ旅する時が近づいているサインかもしれません。

この記事に関連するニュース
メニューを開く