みんな大好きスタジオジブリ、その世界観を大空に表現する飛行機まとめ

みんな大好きスタジオジブリ、その世界観を大空に表現する飛行機まとめ

ニュース画像 1枚目:まるでナウシカが飛んでいるようなM-02J (ぼろ太さん撮影)
© FlyTeam ぼろ太さん
まるでナウシカが飛んでいるようなM-02J (ぼろ太さん撮影)

41年前(1985年/昭和60年)の6月15日は、スタジオジブリの設立日です。「風の谷のナウシカ」を代表に人気作品を輩出していた徳間書店のアニメ制作会社として設立、現在では日本だけでなく、世界的にも有名です。海外から東京・三鷹市の三鷹の森ジブリ美術館へ訪れる旅行者もおり、多くの人がその世界観に魅了されています。そんなジブリは、数多くの空を舞台にした作品を世に送り出しています。今回は、ジブリの世界に関連する飛行機たちをまとめました。

紅の豚:ラーラ・ロッサ

1992年に公開された「紅の豚」。1929年の世界恐慌、その後のイタリアが進む歴史的な流れを、豚の姿のポルコ・ロッソを中心に描いた物語です。ポルコが操る飛行艇サボイアをミラノの工場で修理する場面などを含め、機体メンテナンス作業でも整備士の思いが込められており、飛行機が大空を羽ばたいていることが伝わる作品です。

ニュース画像 1枚目:コディアック100の「JA03TG」、愛称「ラーラ・ロッサ(L’ala Rossa)」(MIRAGE E.Rさん撮影)
© FlyTeam MIRAGE E.Rさん
コディアック100の「JA03TG」、愛称「ラーラ・ロッサ(L’ala Rossa)」(MIRAGE E.Rさん撮影)

せとうちSEAPLANESは、その1周年を記念し、クエスト製コディアック100、機体番号(レジ)「JA03TG」に特別塗装を施しました。スタジオジブリの宮崎駿監督が塗装デザイン、尾翼の社名の揮毫は鈴木敏夫プロデューサーが手がけ、ポルコが操る飛行艇サボイアを想起させました。機体の愛称は「ラーラ・ロッサ(L’ala Rossa)」で、イタリア語で「赤い翼」を参考にしています。

風の谷のナウシカ:M-02J

1984年に公開された「風の谷のナウシカ」。文明が滅び、汚染された大地に人は住めず、安全で守られた一部地域に暮らす設定。主人公のナウシカの住むエリアも乱戦に巻き込まれながら、グライダーらしき架空の飛行機「メーヴェ」で飛び回り、物語が繰り広げられます。作品ではガンシップと呼ばれる銃のような形の戦闘機、空を飛ぶ船などが登場します。

ニュース画像 2枚目:まるでナウシカが飛んでいるようなM-02J (ぼろ太さん撮影)
© FlyTeam ぼろ太さん
まるでナウシカが飛んでいるようなM-02J (ぼろ太さん撮影)

このうちナウシカが乗る「メーヴェ」を再現したのが日本のメディアアーティスト八谷和彦さん。オリンポスの協力を得て製造したジェットエンジン搭載のグライダー、「M-02J」が機体記号(レジ)「JX0122」として登録されています。「M-02J」は2013年7月に千葉県野田市で初飛行を行い、2016年7月にたきかわスカイパークで場周飛行を実施。

さらに、この機体は世界最大のジェネラル・アビエーションの祭典「EAAエアベンチャー・オシュコシュ」でもデモフライトを披露しています。「ナウシカ」は世界的にも有名、かつ八谷さんの製作した「M-02J」はYouTubeなどを通じて世界の航空ファンにも知られています。オシュコシュでは2019年7月にそのフライトが実施され、現地の人たちもアニメの世界から出てきた飛行機を賞賛しました。

なお、「M-02J」の飛行性能評価や操縦練習用に製作された「オープンスカイ M-02」は、金沢21世紀美術館に展示されています。

風立ちぬ:九試

2013年に公開された「風立ちぬ」。戦前の日本で製作された零式艦上戦闘機の設計者として有名な堀越二郎をモデルとした作品。映画には零戦は出てこないものの、三菱での設計業務、九六式艦上戦闘機(A5M)の試作機「九試単座戦闘機(九試)」までを描いています。この公開に前後し、博物館で零戦の特別展示、テレビで堀越二郎の特集番組が組まれました。

ニュース画像 3枚目:所沢航空発祥記念館で展示されたA6M5「N46770」 (りんたろうさん撮影)
© FlyTeam りんたろうさん
所沢航空発祥記念館で展示されたA6M5「N46770」 (りんたろうさん撮影)

2013年にはアメリカのプレーンズ・オブ・フェイム航空博物館(POF)から、第2次世界大戦時に搭載していた栄エンジンを現在も搭載している零式艦上戦闘機五二型(A6M5)、レジ「N46770」が来日、一般公開されました。こうした実機のエンジン始動をはじめとした見学会の開催も大きな関心を集めました。

堀越二郎はその後、YS-11の設計に携わったほか、日本で発生した航空事故調査委員会のメンバーとして原因究明に力を注ぎ、航空産業の発展に貢献しています。「風立ちぬ」にも描かれていたユンカースへの訪問などで体験した空を飛ぶ楽しさが描かれていますが、戦争中でも現在でも多くの人は「楽しさ」から空への憧れをそれぞれの形で実現していることを示唆する映画になっています。

ニュース画像 4枚目:ユンカースを今に伝えるJu 52 (chrisshoさん撮影)
© FlyTeam chrisshoさん
ユンカースを今に伝えるJu 52 (chrisshoさん撮影)

ちなみに、映画ではユンカースG.38旅客機が描かれています。同型機は現存しないものの、同じユンカース製の航空機として「タンテ・ユー」の愛称で知られるJu-52は、ルフトハンザドイツ航空の財団、スイスの企業などが旅客を乗せた遊覧飛行を最近まで運航していました。

JALとコラボ「空を飛ぶ。」プロジェクト:787

日本航空(JAL)は、映画「紅の豚」の共同製作に参加しており、この縁から長年、スタジオジブリと関係を築いていました。そのため、空をテーマとした作品を多く輩出するジブリとのコラボ企画で、新型機のボーイング787型機の導入に合わせ、空を飛ぶこ楽しさを共有するプロジェクトが展開されました。

ニュース画像 5枚目:「空飛ぶ乗り物」テーマに募集、宮崎監督の作品と共に描かれた特別塗装機 (★azusa★さん撮影)
© FlyTeam ★azusa★さん
「空飛ぶ乗り物」テーマに募集、宮崎監督の作品と共に描かれた特別塗装機 (★azusa★さん撮影)

特別塗装機は2012年10月に就航しました。「あなたが乗って旅してみたい、空飛ぶ乗り物」をテーマに集まった13,474点の作品から、宮崎駿監督の「夢の乗り物」、最優秀作品1点、優秀作品6点がJALが受領した5機目の787-8型、レジ「JA828J」に描かれました。

JALはこの機会にあわせ、宮崎駿監督の幻の短編アニメーション映画「空想の空とぶ機械達」を機内で独占上映、「紅の豚」を日本語だけでなく、英語、フランス語、中国語でも放映し、世界に多くいるジブリファンに応えました。

スタジオジブリがこれからも「空」をテーマに作品を送り届けてくれることを期待したいですね。

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