ターボプロップ機を製造するATRは2022年2月2日(水)、搭載する2基のうち1基のエンジンに持続可能な航空燃料(SAF)を100%使用した試験飛行を実施しました。使用したSAFは、フィンランドのネステ(Neste)社が精製した100%再生可能な廃棄物と使用済み食用油などの残留物から生産された製品でした。SAFでは7時間、飛行しています。試験飛行は、ATRが保有するATR-72-600型のテスト機が使用されました。
ATRは、ブラーテンズ・リージョナル・エアラインズ、ネステと3社共同で、2021年9月からSAF活用の取り組みを発表。今回、エンジン1基を100%SAFで初飛行したことを受け、2022年内にブラーテンズが保有するATR機でデモ飛行を実施します。3社の協力により、100%SAFを使用したATR機の運航について、航空当局の認証を2025年までに獲得する計画です。
ATR製の航空機では、ASLアヴィエーションとイギリスのゼロアヴィアによって水素エンジンの開発が進められ、炭素排出ゼロの航空機の実現をめざしています。このゼロカーボンの航空機実現の前に、CO2排出量の削減に現実的に貢献する取り組みが100%SAFによる飛行です。ATRのターボプロップエンジンは、他社製造のリージョナルジェットと比べ、CO2排出量が40%少ないと紹介されます。それでも、航空業界が脱炭素社会への歩みを進める中、数年以内に100%SAFの運航をATRも実現し、CO2排出量の削減の動きに貢献します。
100%SAFによる飛行は、2021年後半から続々と事例が出てきています。エアバスがA319neo型で試験飛行を実施しているほか、ユナイテッド航空が定期便でエンジン1基を100%SAFで運航しています。リージョナルジェット機を製造するエンブラエルも2022年に100%SAFでの飛行を予定しています。