静粛超音速実験機 X-59 QueSST、機体構造試験が進行中

静粛超音速実験機 X-59 QueSST、機体構造試験が進行中

ニュース画像 1枚目:荷重などをかけられるNASA X-59 QueSST
© Lockheed Martin
荷重などをかけられるNASA X-59 QueSST

アメリカ航空宇宙局(NASA)のX-59 QueSST(Quiet SuperSonic Technology:低ソニックブーム/静粛超音速機)が陸路でテキサス州フォートワースへ輸送され、ロッキード・マーティンの施設で耐久性の検証・評価試験が始まっています。X-59は、超音速飛行時に地上へ影響を及ぼす轟音や衝撃波を大幅に減らし、地上の上空飛行を実現するための実験機です。これまでは、カリフォルニア州で製造が続けられていました。

テキサス州フォートワースは、ロッキード・マーティンがF-16戦闘機の製造を手がける施設があります。このため、F-16向けの施設を使い、耐久性検証を実施しています。製造された機体が、安全に飛行する基準を満たす強度が確保されているか検証・評価する機体構造試験が実施されています。試験は、油圧ジャッキにX-59を乗せ、主翼上曲げ試験など、さまざまな飛行条件下で想定される最大荷重を機体全体や部分的に負荷をかけています。負荷は、実際の飛行で想定されるより25%多い力が加えられています。1月下旬までに、耐久性試験の約80%が完了しています。

ニュース画像 1枚目:機首の長いX-59のため、施設内の改修を経て試験実施
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機首の長いX-59のため、施設内の改修を経て試験実施

この試験を終えると、燃料システムのキャリブレーションや試験に移ります。タンク内に燃料を満タンに搭載し、内部の燃料残留センサーの確認などを実施するもので、水平状態だけで無く、乱気流で機体が揺れるピッチング状態、機体が横に揺れるローリング状態などを確認します。こうした一連の試験を終了し、X-59の機体はカリフォルニア州パームデールに再び戻ります。この時期はまだ、明確には決まっていません。

パームデールに戻ると、GE製のF414エンジン、着陸装置、コクピットディスプレイなど主要システム・サブシステムの搭載、確認などを経て、2022年後半の初飛行に備えます。

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