戦後初の国産航空機YS-11が60年前の1962年(昭和37)8月30日、名古屋・小牧空港で初飛行しました。今では、全国の博物館や公園で保存され、現役で運用しているのは航空自衛隊のみです。YS-11の豆知識と全国の主な展示されている博物館を紹介します。
YS-11の生産機数は、182機で、大半は国内の航空会社で、旅客機として活躍しました。社名変更や移籍等があったものの、全日空(ANA)、日本トランスオーシャン航空(JTA)、日本エアコミューター(JAS)で活躍しました。日本航空(JAL)は僅かですが、リースで導入した時期があります。
民間機としての活躍は、2006年9月30日に日本エアコミューターが最後のフライトを運航しました。
官公庁では国土交通省が飛行検査用に2006年まで使用、海上保安庁は長距離飛行できる燃料タンクを増設し、2011年まで運用しました。海上自衛隊は、2014年に全てを退役させました。
現役機は、航空自衛隊・入間基地の電子作戦群に所属している電子戦訓練機YS-11A-402EA、電子情報収集機YS-11A-402EBです。秘匿性の高い任務に就いており、発表されることはありませんが、2021年8月時点で3機確認、2022年度は訓練機の「82-1155」と情報収集機「02-1159」の2機が確認されています。2022年の入間基地ランウェイウォークで、駐機されていた姿が確認されました。11月3日に開催される入間航空祭で、展示される可能性もあります。
全国の博物館では、6件で機体を展示、1件はコクピット部分のみの展示です。
(1)航空科学博物館 (千葉県)
展示機:JA8611 (1962年8月30日、初飛行した機体)
(2)科博廣澤航空博物館 (茨城県)
展示機:JA8610 (1964年10月23日初飛行、航空局で飛行検査機として活躍、1998年12月退役)
(3)あいち航空ミュージアム(愛知県)
展示機:52-1152 (1965年3月〜2017年5月退役まで航空自衛隊で運用)
(4)岐阜かかみがはら航空宇宙博物館(岐阜県)
展示機:JA8731 (1969年3月:全日空導入、1995年12月:エアーニッポンで退役)
(5)所沢航空発祥記念館(埼玉県)
展示機:JA8732 (1969年4月:全日空導入、1997年6月:エアーニッポンで退役)
(6)青森県立三沢航空科学館(青森県)
展示機:JA8776 (1971年5月:東亜国内航空導入、2002年11月:日本エアーコミューターで退役)
(7)電車とバスの博物館(神奈川県)
展示機:JA8662 (1966年5月:日本国内航空導入、1989年2月:日本エアシステムで退役)
この博物館うち、(1)〜(6)では、60周年を記念し、日本航空協会との連携プロジェクトとして、YS-11試作1号機のイラストを描いた「特製缶バッジ」がプレゼントされます。雑誌「航空ジャーナル」で連載していた画家、下田信夫氏が手がけた作品で、デフォルメされた姿が印象的なイラストです。60周年を期に、各地の博物館を訪れてみてはいかがでしょう。