航空自衛隊 那覇基地に所在する第9航空団 第304飛行隊の整備員に密着取材。航空自衛隊 F-15戦闘機の安全を確保するために、日々整備員たちが点検を行なっています。これまで全3回に分けて、F-15の運用面をささえる「列線整備」と呼ばれる整備の様子をお伝えしました。今回は飛行前点検の作業の中から、エンジンの点検の様子をお届けします。
【これまでの全3記事】
F-15機付長に1日密着(1)、“最強”たる飛行隊のプリフライト・チェック
F-15機付長に1日密着(2)、プリタクシー・チェックから離陸へ
F-15機付長に1日密着(3)、「故障はその場で直す」飛行後の点検とは?
この記事の様子を動画で見ることが可能です。
F-15の飛行前点検(プリフライト・チェック)では、数百にのぼる整備項目の確認・点検を行います。もちろん2基のF100ターボファンエンジンも点検の対象です。通常の民間機であれば、エンジンのファンは外部から簡単に確認することができます。しかし、機体に一体化した構造であるF-15のエンジンは外部から容易に確認できず、なんと整備員がエアインテーク(空気の取り込み口)内に入り、目視点検を毎回行なっているのです。
2基のエンジンを搭載するF-15には、コックピットの後方下に左右2つのエアインテーク(空気の取り込み口)があり、その奥にエンジンファンを備えています。整備員はエアインテーク内に入り、さまざまなチェックを行います。エンジンの点検を担当する小野原1士整備員の後を追いました。
まずエアインテーク内に入る際は作業靴を脱ぎ、点検作業を行います。その内部は四方1mほどのスペースで、四つん這いでの作業です。エアインテークの可動部分やエンジンへの風速を測定するピトー管の目視点検も行います。内部に傷や亀裂がないか確認しながら、四つん這いでエンジンファンへ近づきます。
エンジンファンまでたどり着くと異状がないか目視確認を行います。ファンを手で回し、傷などの異状がないか、入念に点検します。
エンジンの点検が終わると身を反転させ入り口へ戻ります。戻る際にも異状がないか、常に確認しながら進みます。この目視確認は、飛行前後に毎回行われるそうです。
狭いスペースのため四つん這いでの作業は、意外とキツく気が抜けない作業に感じました。またフライト終了後の点検では、エンジンの熱によりエアインテーク内はとても高温になり、過酷な作業となりますとのこと。
以上、F-15のプリフライト・チェックからエアインテーク・エンジンファンの点検の様子を紹介しました。このような点検・確認が日々繰り返し行われていることにより、自衛隊機の安全が支えられているのだと実感しました。
今回取材した那覇基地では、2023年12月10日(日)に一般公開イベント「美ら島エアーフェスタ2023」を開催予定です。F-15の展示飛行や様々な装備品展示が行われ、今年はブルーインパルスの飛行も行われます。ぜひ、イベントへ足を運んで、「美ら島エアーフェスタ2023」を楽しんでみてはいかがでしょうか?