プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の親会社であるRTXは2023年9月11日、エアバスA320neoファミリーに搭載される「PW1100G-JM」エンジンの一部について、航空機から取り下ろして追加検査が必要になることを明らかにしました。現時点で詳細は公表しされていませんが、今後該当エンジンを保有する航空各社で対応が必要となります。
追加検査は、製造済みの同エンジンに使用される粉末金属に“稀な欠陥”があることが判明したことによるもの。今後2か月以内に該当エンジンの詳細や検査方法を明らかにするとしています。すでに同事象に関する耐空性改善命令(AD)が発行されていましたが、検査範囲を拡大し、およそ600〜700台のエンジンを対象としました。追加検査の大部分は2024年初頭にかけて発生する見込みです。
該当エンジンを航空機から取り下ろし、検査後に再度航空機へ搭載するまでにかかる期間は、1台あたり約250〜300日。これにより今後2026年にかけて、平均350機の航空機が地上駐機(AOG: Aircraft On Ground)を余儀なくされるとしています。同社では、同エンジンやスペア部品の製造や出荷は、継続して行うとしています。
「PW1100G-JM」エンジンは、日本・アメリカ・ドイツ、3か国の5社による国際共同開発です。2014年に型式証明を取得し、日本では全日本空輸(ANA)が保有する、A320neoおよびA321neoに搭載されています。従来のエンジンとは構造が変更された最新の「ギヤードターボファン(GTF)」エンジンとして、大幅な燃費向上と騒音低減を実現。世界でもA320neoシリーズのシェア拡大により運航数が非常に多く、日本でも三菱重工グループの三菱重工航空エンジン(MHIAEL)が、愛知県小牧市に整備工場を開設しています。
国内でA320neoファミリーを運航するスターフライヤー、ピーチ、ジェットスター・ジャパンの航空機には、P&W製の「PW1100G-JM」とは異なる、CFMインターナショナル製「LEAP-1A」を搭載しています。