運輸安全委員会、朝日航洋の屋久島でのAS332の墜落事故で勧告

運輸安全委員会、朝日航洋の屋久島でのAS332の墜落事故で勧告

運輸安全委員会は2013年1月25日、朝日航洋が運航するAS332L、機体記号(レジ)「JA9635」の事故調査報告書を発表しました。これは2010年9月26日、鹿児島県熊毛郡屋久島町で、山岳地の谷間上空を機外荷物つり下げ飛行中、引き返そうとして左旋回中に斜面に接近、墜落した事故。

調査報告書では、実施できたOGEホバリング(地面効果外ホバリング)を実施しなかった、物資輸送経路上で最低安全高度を大幅に下回った高度を飛行していたこと、左旋回時に飛行高度と雲底の高さとの間隔が小さかったことから上昇を抑えたこと、つり荷と樹木との間隔の目測を誤った可能性も指摘しています。

これに加え、輸送現場は山岳地で携帯電話、VHF無線機の電波の届く範囲が限られる地域で、輸送作業現場との有効な通信手段がなく、連絡には会合する必要があったこと、作業着手前に作業現場間で緊急時の連絡体制の計画がなく、事故発生後の対応を開始するまで時間を要したことを重く見ています。

これらを受け、運輸安全委員会は朝日航洋に対して、法令不遵守の不安全事例がないか再点検を行い、事故を踏まえた操縦士、整備士などの安全業務に従事する全社員に対し、最低安全高度など、基本的な安全基準を遵守する意義、その重要性を徹底、緊急連絡体制の見直しを行うよう勧告を行いました。

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