JA342JのCFM56エンジン破損 ブレードとケースの間隔を広げる設計変更

JA342JのCFM56エンジン破損 ブレードとケースの間隔を広げる設計変更

運輸安全委員会は2015年10月29日、2012年10月20日にJALエクスプレスの737-800、機体記号(レジ)「JA342J」でJAL1471便で発生した重大インシデントの報告書を発表しました。この機体は、羽田を19時36分に離陸、羽田空港の西約37キロ、高度約13,000フィートを上昇中、左側の第1エンジン回転数の低下、排気ガス温度の上昇を示す計器表示を受け、このエンジンを停止し引き返し、20時10分に着陸しました。

航空機の損傷は小破で、CFM56-7B24Eエンジンを搭載しており、この内部の大規模な破損でした。このエンジンの第5段高圧コンプレッサー(HPC)の全ブレード先端がHPCケースに接触し、ブレードの根元に強い負荷が加わり亀裂が生じ、飛行サイクルに伴う繰り返し荷重による亀裂の進行、連鎖的な全ブレード破断、エンジン内部の大規模な破損に至ったと推定しています。

第5段HPCの全ブレード先端がHPCケースに接触したことは、第5段HPCケース最下部の空洞に水がたまった影響で、第5段HPCブレード先端とケースの間隔が狭くなったこと、第5段HPCブレード先端とケースの間隔が何らかの原因で通常より狭い状態になっていた可能性があるとしています。

なお、調査の過程でCFMインターナショナルは、第5段HPC付近まで水が浸入すると、第5段HPCブレード付近のケースにある空洞に水がたまる可能性があることを確認しました。なお、この機体は2012年4月引き渡しの機材で、重大インシデント発生時は納入から6カ月、製造からも7カ月とエンジン洗浄を含むエンジン整備は行なわれていません。また、この機体の夜間駐機でインシデント発生前の10月17日から10月18日、10月18日から10月19日にそれぞれ雨量12ミリと4.5ミリ、風速4.4メートル/秒、11.6メートル/秒でした。この際にはエンジンカバーは付けられていなかったものの、報告書ではこの際の水の混入は不明としています。

こうした状況を受け、CFMインターナショナルは2014年2月28日、第5段HPCブレードとケースの間隔を広げる設計変更を行っています。

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