新千歳で2017年1月のオーバーラン、制動開始の遅れや滑走路状態が影響

新千歳で2017年1月のオーバーラン、制動開始の遅れや滑走路状態が影響

ニュース画像 1枚目:オーバーランしたJA461A
© 運輸安全委員会
オーバーランしたJA461A

運輸安全委員会は2018年2月22日(木)、2017年1月19日(木)にANAウイングスが運航した秋田発新千歳着ANA1831便の重大インシデントについて、調査報告書を公表しました。ANA1831便は機体記号(レジ)「JA461A」のDHC-8-400(Q400)で運航されており、乗員乗客25名にけがなどはありませんでした。「JA461A」はインシデント発生時、滑走路01Rに着陸し、11時58分ごろに19Lエンドでスリップし、曲がりきれず、積雪のある草地に停止しました。

報告書では、機長による制動の開始が遅れたこと、パワーレバー(PL)がディスク位置にセットされず減速に必要な制動力を得られず、オーバーランに至ったと推定されています。滑走路終端付近や過走帯の積雪等の状態が悪かったことも、オーバーランに至る要因としています。

機長による制動の開始の遅れは、滑走路終端の誘導路B2から離脱する管制指示を受け、短時間で滑走路を離脱しようと意図したものの、制動を開始した誘導路B3を誘導路B4と思い違いしたことを報告書では指摘しています。さらに、PLがディスク位置にセットされておらず、その際に機長はPLがディスク位置にあると思い違いし、副操縦士は通常と異なる位置と気付かなかったことも一因にあげています。

これを受け、ANA、ANAウイングスは全運航乗務員に対し、事例紹介と同事象の再発防止の注意喚起を行なっています。また、接地後は直ちにPLをディスク位置にし、操縦するパイロット(PF)、操縦を補佐するパイロット(PM)dが相互認識のため、コールアウトを実施するようDHC-8-400の飛行機運用規定(AOM)を改訂しています。

さらに、全運航乗務員に対し、社内誌でオーバーラン防止をテーマとして取り上げ、2017年度の冬期運航訓練を実施しました。訓練は速やかな接地後の操作と、ブレーキを過信しないことに重点を置き、冬期に同じ事象の発生防止を目指した注意喚起が行なわれています。

報告書を踏まえ、ANAとANAウイングスは、改めて陳謝すると同時に訓練やAOM改定などを通じ、再発防止に全力を挙げて取り組み、「これまで以上に安全運航の堅持に努めてまいります」とコメントしています。

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