イギリス空軍(RAF)の輸送部隊は世界に貢献するため、人員や物資を輸送できる能力を維持しています。オックスフォードシャーのブライズ・ノートン空軍基地はRAF最大の基地で、C-130Jハーキュリーズ 、C-17AグローブマスターⅢ、A400Mアトラス、ボイジャー KC2/KC3を配備している空輸部隊の拠点です。
A400Mアトラスは2009年に初飛行、2014年11月にRAFで運用開始、2015年10月に日本に表敬訪問しました。2017年9月にハリケーン・イルマの被害に遭ったカリブ海の諸国に人道支援で2機のA400Mを使用、他のイギリス空軍機と共に1,500トンの物資を輸送しました。
最近では、洪水で壊滅的な状況になったモザンビークへの人道支援の実施、パラグライダー事故で重傷を負ったイギリス人2名をヨーロッパからイギリスへの輸送などに対応しています。A400Mは世界中で輸送だけでなく、2018年11月にはソールズベリー平原に23トンの積荷を空中投下する記録を作りました。
C-17AグローブマスターⅢは、A400M運用までのつなぎとして2001年5月、4機をリースで導入しました。しかし能力の高さから2004年にリースから購入に切り替え、最終的に8機を導入し、運用しています。RAFにとってC-17Aは大型貨物を短時間で運ぶ重要な輸送機です。
C-17Aは2013年、南スーダンから避難する人々の輸送、2015年にはチュニジアで殺害されたイギリス人を送還するために任務を果たしています。
C-130Jハーキュリーズは、1967年から運用しているC-130の最新型です。イラクやアフガニスタンの紛争の戦術輸送でほぼ独占的に活動しています。C-130の輸送部隊、第24飛行隊はC-130からA400Mに転換中、第47飛行隊は作戦任務を遂行しています。
ボイジャーKC2/KC3はA330を基に開発された空中給油機です。貨物輸送にも使用され、RAFが運用した歴代で最大の航空機です。2012年にVC-10やトライスターと交代するため、第10飛行隊で運用が開始されました。
ボイジャーは111トンの容量があり、従来よりも長距離の航続距離を誇り、同時に多くの人員を輸送する能力があります。左右主翼外側の空中給油ポッドから2機の小型航空機に給油、さらに胴体中央の給油ホースを使用し、大型の航空機に給油できます。ボイジャーはリンク16戦術データリンクを採用しています。これにより他の航空機や艦船、車両と情報を共有しています。
9機が第10飛行隊と第101飛行隊で運用され、5機は給油装置や防御装置を取り外して民間航空会社にリースしています。余剰の航空機をリースする事で、コストを抑えて収益を上げています。
これらの輸送機を運用するため、重要な要素はRAFの人々です。貨物を輸送し、被災地に救援物資を送り、負傷した人々を避難させ、1日24時間、1年365日のたゆまぬ努力をしている人々が任務を支えています。