JAL決算、2,866億円の赤字 緊急事態宣言・月150億円流出

JAL決算、2,866億円の赤字 緊急事態宣言・月150億円流出

ニュース画像 1枚目:JAL イメージ(runway1836さん撮影)
© FlyTeam runway1836さん
JAL イメージ(runway1836さん撮影)

日本航空(JAL)グループは2021年5月7日(金)、2021年3月期決算を発表しました。連結売上高は前年比65.3%減の4,812億円、財務・法人所得税前損失(EBIT)は3,983億円、純損失は2,866億円でした。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長期化する中、現在も機動的な供給調整や営業費用の抑制、堅調な貨物便需要の取り込みに努めていますが、需要回復の見積もりが困難との理由から、2022年3月期の通期業績予想は開示していません。

流動性は2021年3月末時点で4,083億円、未使用のコミットメントライン3,000億円を含め7,083億円を確保しており、当面の間の流動性は保持しています。キャッシュバーンは、1回目の緊急事態宣言が発出された2020年度第1四半期に月450~500億円でしたが、第2四半期に月150~200億円、第3四半期には月100~150億円にまで縮小。第4四半期は2回目の緊急事態宣言により月150~200億円と拡大しつつも、2021年度第1四半期(2021年4月~6月)は3回目の緊急事態宣言でも月100~150億円の流出を抑える見込みです。

■2021年3月期、航空事業の概況

航空事業の旅客部門は、国際線の旅客収入は前期比94.3%減の279億円、国内線の旅客収入は前期比67.2%減の1,740億円でした。いずれも供給量を示す旅客輸送力の座席キロで前年から大きく絞っており、国際線は77.9%減、国内線は46.3%減で、入国規制、需要減少に対応したほか、感染者数の動向、緊急事態宣言の発出などにあわせた柔軟なスケジュール編成を実施しました。

貨物・郵便部門では、旅客便の運休・減便によるベリースペースの減少で需要が増加し、旅客機を利用した貨物専用便を積極的に運航。収入は前年比40.6%増の1,288億円と大幅に増加しました。国際線では半導体や電子部品関連需要、自動車関連の需要回復、また国内線では巣ごもり消費により、宅配需要の増加を受け、年度で計15,299便の貨物専用便を運航しました。

■2021年3月期、営業費用の概況

大幅な赤字を記録した2021年3月期は、経費削減に注力。営業費用の内訳を見ると、供給量が減ったことによる燃油費や航空販売手数料などを含む収入・供給連動費用を前年55.1%減に削減。固定費では、機材費は早期退役に伴う一時的な費用を計上しているため前年から13.0%増ですが、人件費やその他で12.7〜17.0%を削減しました。固定費のうち、人件費は3,000億円前後だった過去3年間と比較し、雇用を守りつつ12.5%減の2,548億円まで縮小しています。
■JAL 2020/2021年の営業費用概況
営業費用(億円)2020年3月期2021年3月期
燃油費2,434967
運航施設利用費848384
整備費740581
航空販売手数料17037
サービス費444110
その他の連動費用2,041915
収入・供給連動費用計6,6792,998
機材費1,3411,515
人件費2,9132,548
その他の固定費2,1551,788
固定費計6,4095,851
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