ファントムからF-35へ、今後も続く空自の戦闘機の機種更新

ファントムからF-35へ、今後も続く空自の戦闘機の機種更新

ニュース画像 1枚目:空自パイロット、第5世代戦闘機「F-35 ライトニングII」で初めて離陸
© U.S. Air Force photo taken by Tech. Sgt. Louis Vega Jr.
空自パイロット、第5世代戦闘機「F-35 ライトニングII」で初めて離陸

航空自衛隊の戦闘機は、「ファントム」の愛称で親しまれたF-4が2021年3月下旬に退役し、4機種から3機種になったばかり。F-4ファントムは、今後の主力戦闘機になるF-35ライトニングIIで更新され、F-15イーグル、F-2と3機種で日本の防空を担っています。戦闘機の機種更新が進む中、機数は2018年3月時点から2022年1月末時点で30機減り、3機種318機で構成しています。進行中の機種更新、今後の空自戦闘機についてまとめました。

多くの人に愛され退役したF-4 ファントム

ニュース画像 1枚目:Aurora56さん 2020年11月16日撮影 07-8436 三菱 F-4EJ改 ファントムII 航空自衛隊
© FlyTeam Aurora56さん
Aurora56さん 2020年11月16日撮影 07-8436 三菱 F-4EJ改 ファントムII 航空自衛隊

2021年3月に全機が退役したF-4ファントム。マクドネル・ダグラス(当初はマクドネル・エアクラフト)が開発した艦載機を空自が導入し、主翼の折り畳み機構や、甲板着艦時に使用するアレスティング・フックを残していました。「ファントム無頼」をはじめ、多くの漫画、映画などでも数多く取り上げられ、多くの人に親しまれました。近隣国の戦闘機が最新型が増える中、空自も環境変化に対応するため、F-35導入を進め、更新されました。

次期主力戦闘機 F-35 ライトニングII

ニュース画像 2枚目:301飛行隊の新編行事
© 航空自衛隊
301飛行隊の新編行事

F-35ライトニングIIはロッキード・マーティンが開発し、最大の特徴は敵のレーダーに映りにくいステルス性能と、味方の空・海・地の部隊とネットワークで結ぶ高い情報機能にあります。三菱重工が名古屋で最終組立・検査を手がけています。

この機種は5年前の2017年2月10日、空自パイロットがアメリカで初飛行させ、現在は三沢基地に2個飛行隊が編成され、27機が導入されています。今後、F-35は計147機まで増える計画です。

通常離着陸型の「F-35A」を105機、短距離離陸・垂直着陸(STOVL)型の「F-35B」の2機種を導入。配備先も現在の三沢だけでなく、2024年にF-35Bを新田原基地、2025年にF-35Aを小松基地に配備する計画です。配備先の拡大と機数増加により、退役が予想されるF-15イーグルを更新し、今後、最も機数の多い主力戦闘機となる見込みです。

現在の主力 F-15 イーグル

ニュース画像 3枚目:姉ヶ崎疾風さん 2019年10月31日撮影 12-8928 三菱 F-15J  イーグル 航空自衛隊
© FlyTeam 姉ヶ崎疾風さん
姉ヶ崎疾風さん 2019年10月31日撮影 12-8928 三菱 F-15J イーグル 航空自衛隊

F-15イーグルは現在、約200機ともっとも多い機数を誇る主力戦闘機です。マクドネル・ダグラスが開発し、1972年7月に初飛行、ほぼ半世紀にわたり、使用されてきた戦闘機です。日本では三菱重工が組み立てやライセンス生産を手掛けています。現在、マクドネル・ダグラスから引き継いだボーイングが、改良された最新型の製造を続け、最新鋭のF-35と連携できるネットワーク性能を搭載できます。

空自では、1980年の配備開始から40年が経過。製造時期の古い前期生産型99機はF-35A/Bに更新予定です。配備先は、北から千歳、小松、新田原、そして南は那覇の4基地で、対領空侵犯任務などに就いています。

今後、F-15は導入初期の前期生産型を除き、能力向上改修(MSIP)が適用された機体の性能をさらに向上させます。アメリカ側と合意済みで、離れた場所から敵を攻撃できるスタンド・オフ・ミサイル搭載、電子戦能力の向上などにより、2030年代も100機程度が日本の防空を担う戦闘機として活躍します。

日本独自開発の流れ受け継ぐF-2

ニュース画像 4枚目:tuco-Gさん 2018年10月29日撮影 73-8543 三菱 F-2A 航空自衛隊
© FlyTeam tuco-Gさん
tuco-Gさん 2018年10月29日撮影 73-8543 三菱 F-2A 航空自衛隊

日本初の超音速機T-2をベースとしたF-1戦闘機の後継機のF-2戦闘機。アメリカのF-16ファイティング・ファルコンをベースに、三菱重工を主体とした国内企業とアメリカ企業による共同事業で開発されました。

外観はF-16と類似していますが、自衛隊の要求で旋回性能の向上を高めるため、F-2は大きな主翼が採用され、そこに日本独自開発の流れを色濃く残しています。主翼は三菱重工による炭素繊維強化複合材が世界で初めて採用されました。

F-2は2000年から配備され、現在は首都圏を守る百里と、東シナ海から日本海にかけて対応する築城の2箇所に飛行隊が編成されています。ブルーインパルスが拠点とする松島基地には、F-2の訓練部隊もあります。2035年ごろに退役が始まると予想され、次期戦闘機F-X開発も進められています。

海外と協力も国産主導の次期戦闘機F-X

ニュース画像 5枚目:よっしぃさん 2016年4月22日撮影 51-0001 三菱 X-2 (ATD-X) 防衛装備庁
© FlyTeam よっしぃさん
よっしぃさん 2016年4月22日撮影 51-0001 三菱 X-2 (ATD-X) 防衛装備庁

次期戦闘機F-Xは、三菱重工が製造主体に指名されています。試験飛行した先進技術実証機X-2をベースに、国産主導に重点を置いた開発です。海外企業とも協力し、F-22やF-35を手がけたロッキード・マーティン、イギリスの次期戦闘機「テンペスト」を開発するBAEシステムズなどと連携します。

自国開発のジェットエンジン搭載だけでなく、海外との協力により、ステルス性能、実戦を含めたネットワークシステム系に磨きをかけた海外技術を取り込みます。この次期戦闘機F-X開発は、F-1、F-2と続き、「F-3」になるのでしょうか。空自の戦闘機は、2030年代後半に330機程度と大きく機数は増えないものの、再びF-35、F-15、F-2、そして「F-3」と4機種が揃う時がやってきます。

■航空自衛隊の過去5年間の機数推移と2030年代の予想
機種2018年3月2019年3月2020年3月2021年3月2022年1月2030年代後半
F-15J/DJ201201201201201102
F-4EJ/EJ改523426500
F-35A412172127147
F-2A/B9291919191退役開始(?)
F-XF-2更新の計画段階導入開始(?)
合計機数349338335318319約330
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