航空自衛隊特別航空輸送隊は、岸田首相のG7首脳会議出席のため、2022年3月24日(木)深夜、羽田空港を出発しました。防衛省の発表では3月25日(金)に、ブリュッセルから羽田へ戻る予定です。政府専用機のヨーロッパ行きは通常、民間機の定期便と同じくロシア領空を通過していましたが、今回はアラスカ、カナダ上空を経由する北回りでヨーロッパへ向かう模様です。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧米各国がロシアへ経済制裁を実施し、航空分野でも民間機を含めたロシア領空の乗り入れ、ロシア機のEU諸国の乗り入れ禁止が実施され、日本の航空会社にも波及。ロシア領空を通過する定期便運航は3月3日(木)から、全日空(ANA)、日本航空(JAL)、日本貨物航空(NCA)が一時運休。その後、ANAは中央アジアを経由する南回り、JALとNCAはアラスカ、カナダ上空を経由する北回り航路に変更し、運航しています。
政府専用機によるヨーロッパ方面への前回任務は、2021年11月2日(火)から11月3日(水)に岸田首相のグラスゴー訪問時でした。その際、ロシア上空を通過して羽田とイギリス間を運航しました。羽田/ブリュッセル間の今回の任務では、ロシア領空を通過する直線距離は9,479キロメートル(km)ですが、アラスカ方面の迂回ルートは約13,000kmと、約3,500km長い飛行になります。空自が公開している777政府専用機のデータでは、航続距離を約14,000kmとしており、迂回飛行でも無給油で羽田/ブリュッセル間を往復できます。