カンタス航空は2021年10月5日(火)から10月6日(水)にかけて、ブエノスアイレスからダーウィンまで初めて直行便を運航しました。実際の飛行距離は15,020キロメートル(km)、飛行時間は17時間25分、使用した機材はボーイング787-9型の機体記号(レジ)「VH-ZNH」で、カンタス航空による商用飛行として最長距離を記録しました。コロナ禍前に定期便で運航するパース/ロンドン・ヒースロー線より522km長い航続距離でした。
この帰国支援便は、QF14便として運航。乗客は107名で、パイロットは4名が交代しながらフライト。そのほか、客室乗務員、整備士、地上スタッフなど17名が乗務しました。カンタス航空の787-9にはコクピット内にパイロット用、客室後部には客室乗務員の休憩室がそれぞれ設けられ、長距離飛行を想定したスタッフ向け装備が搭載されています。
このフライトの航路は、ブエノスアイレスを離陸後、アルゼンチンを南に進み、南極を通過。オーストラリア大陸を南から北に向かい縦断する航路でダーウィンに着陸しました。運航前に、カンタス航空のフライト・プランニング・チームは太平洋や南極の気象、風などを研究。実際の飛行時には、南極上空で平均時速35キロメートルの向かい風、摂氏マイナス75度の低温環境の中、長距離飛行を実現させました。
カンタス航空は現在、ニューヨークやロンドンとシドニーを結ぶ直行便開設の実現に向け「プロジェクト・サンライズ」として、長距離フライト時の課題解決に取り組んでいます。機材選定から、長時間飛行時の乗客・乗務員の体調を含む健康面に至るまで、研究を進めています。その一環として、ニューヨーク発、ロンドン発のシドニー行きで19時間に及ぶフライトを787で運航したこともあります。