米国防総省、空自F-15近代化改修プログラム ボーイングと契約 約543億円

米国防総省、空自F-15近代化改修プログラム ボーイングと契約 約543億円

ニュース画像 1枚目:空自 F-15 イメージ (Kenny600mmさん 2019年9月16日撮影)
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空自 F-15 イメージ (Kenny600mmさん 2019年9月16日撮影)

アメリカ国防総省(DOD)は2021年12月30日(木)、ボーイングに日本のF-15スーパーインターセプタープログラム(近代化改修プログラム)として4億7,131万3,000ドル(約543.6億円)以内での契約を授与しました。防衛省は2022(令和4)年度予算でF-15J能力向上について、総額を定めずに計画内容も詳細を詰めていない事項要求として予算に組み込んでいます。目安として、2022(令和4)年度のF-15能力向上の関連経費は520億円です。

DODはプログラム内容として、航空自衛隊F-15の改造、4機の兵器練習機の開発・試験・納入を含む統合システムの設計・開発を想定しています。ボーイングの業務は、F-15プログラムで最新のF-15EXの開発を手がけるセントルイス工場で実施されます。ボーイングが与えられた今回の契約は、アメリカによる日本との対外有償軍事援助(FMS)を活用した事業で、2028年12月31日完了予定です。

防衛省・空自はこれまで、周辺諸国の戦闘機の強化に対応し、長年使用されているF-15Jの能力向上に取り組んできました。2019(平成31)年度予算で2機改修の108億円と設計変更などに412億円を計上、さらに2020(令和2)年度予算で390億円、2021(令和3)年度予算で213億円の予算を組んできました。

しかし、アメリカ側が提示した予算額が想定を超えていたこと、部品不足による納期遅れなどが判明し、2021年4月に岸防衛相が2020年度予算は執行されなかったと明らかにしていました。改修の根幹の1つとして、空対地「JASSM-ER」や対艦「LRASM」などのスタンド・オフ・ミサイル搭載を計画していましたが、予算削減としてLRASM搭載を見送る案などが伝えられていました。DODがボーイングにFMSによる契約を与えたことで、南西諸島や日本海側での防空任務で重要な役割を果たすF-15の能力向上の進展が期待されます。

空自F-15改修は、近代化改修に適していないF-15J/DJの前期生産型の99機を除く、102機で実施されるとみられます。多段階能力向上改修計画(MSIP:Multi-Stage Improvement Program)が適用されたF-15J/DJが改修の対象で、これらの機体は改修に適していない機体と異なり機内配線なども新型ミサイル搭載、新型レーダー換装に対応しています。近代化改修事業では、スタンド・オフ・ミサイル搭載だけでなく、搭載弾薬数の増加、電子戦能力の向上などが予定されています。

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