イギリスのBACとフランスのアエロスパシアルが開発した超音速旅客機「コンコルド」が46年前の1976年1月21日、エールフランスとブリティッシュ・エアウェイズの2社が同時に定期便の運航を開始しました。コンコルドによる、日本路線の定期便は実現しなかったものの、試験飛行で1度、チャーター便で5度、計6度飛来しています。羽田、関西、そして長崎と日本3空港へ飛来した計6回を振り返ってみましょう。
(1)1972年6月12日〜6月15日:羽田空港
飛来目的:開発中のデモフライト
(2)1979年6月27日〜6月30日:羽田空港
飛来目的:サミット出席するフランス大統領来日のため
(3)1986年5月4日〜5月7日:羽田空港
飛来目的:サミット出席するフランス大統領来日のため(2機飛来)
(4)1989年2月23日〜2月25日:羽田空港
飛来目的:昭和天皇の大喪の礼出席するフランス大統領来日のため
(5)1990年9月2日〜9月3日:長崎空港
飛来目的:長崎旅博覧会訪欧親善団チャーター便
(6)1994年9月5日:関西国際空港
飛来目的:関西空港開港記念チャーター便
コンコルドは最高でマッハ2.02、時速2,180キロメートル(km)を誇り、航続距離は7,220kmでした。日本航空(JAL)が発注したものの、音速飛行時に地上へ騒音、ソニックブームを発生させる課題などを受けてキャンセルし、その他の会社も契約したものの導入に至りませんでした。結果的に試験機を含め20機しか製造されず、航空機製造ビジネスとしては失敗でした。
それでも超音速での移動は、多くの人を魅了。主にロンドン、パリ発着のニューヨーク行きなど富裕層の多い路線で運航され、ファーストクラスよりも高い運賃が設定されていました。2003年の完全退役から20年を経た現在でも、音速で移動するスピードへの憧れは多くの人が持ち続けています。
コンコルドの退役から超音速旅客機は登場していません。しかし、新たな動きが活発になっており、2022年現在、実現に向けた最有力候補はJALが投資し、ユナイテッド航空が機体を発注している超音速旅客機「オーバーチュア」があります。開発を進めるブーム・スーパーソニック(Boom Supersonic:以下ブーム)社は、技術実証の試験機「XB-1」を2022年にも飛行させ、2023年に「オーバーチュア」の製造を開始、2025年にロールアウト、2020年代終わりまでに商用飛行の開始を目指しています。しばらくは、その開発動向から目が離せず、新たな超音速旅客機が日本に定期便を就航することも期待したいところです。
■コンコルド定期便初飛行データ
<定期便運航開始>1976年1月21日
<運航会社>
・エールフランス:パリ/ダカール/リオデジャネイロ線
使用機材:「F-BVFA」
・ブリティッシュ・エアウェイズ:ロンドン/バーレーン線
使用機材:「G-BOAA」
<エピソード>
両社とも11時40分にヒースロー、シャルル・ド・ゴール空港を同時に離陸