熊本県益城町に位置する「熊本空港 (愛称:阿蘇くまもと空港)」。1971年から供用を開始し、2022年度には全国12位の利用者数を誇る地方空港です。陸上自衛隊の高遊原分屯地や、崇城大学の空港キャンパスが併設されており、旅客機に混じり自衛隊機や訓練機が同じ滑走路を離発着する光景を見ることができます。
2023年3月23日に開業した新しいターミナルビルは、国内でも羽田空港などの基幹空港で導入されている“最先端”設備や、熊本らしさを伝え、「空港自体を楽しむことができる」場所となっています。FlyTeam編集部は、2日間に渡り徹底取材を敢行。4シリーズに分けて紹介します!
【第2弾の記事: 【熊本空港 徹底ガイド 2】アクセス鉄道建設決定!空港からどう行く?現状と未来を解説】
【第3弾の記事: 【2023最新】熊本空港のお土産はコレ!あそ〜ら ゲート店、人気商品ランキングベスト10】
【第4弾の記事: 【熊本空港 徹底ガイド 4】斬新すぎる!花道型 展望デッキとは】
ターミナルビルのデザイン
新しいターミナルビルは、2016年4月に発生した熊本地震で天井が落下するなどの被害が発生した旧ターミナルビルに代わる、創造的復興のシンボルとして開業。外観は、熊本城の黒漆・漆喰をモチーフにした陰影あるデザインです。ターミナル内も、熊本城の石垣や阿蘇の火山岩をイメージした壁面に仕上げられるなど、随所に熊本らしさを感じられます。また、天井のパネル部分には、阿蘇の山々の裾野で育った“小国杉”を使用し、明るく開放的な雰囲気に。ターミナルビルほどの巨大建造物で木材を多用しているものは珍しく、建築業界からも注目を浴びているとのことです。
ターミナルビル1階、屋外との出入り口3か所の天井部には、東京五輪の選手村(ビレッジプラザ)で使用されていたレガシー材を使用しています。覗きこむとその証であるロゴマークを発見することができます。
空港内の動線や構造は非常にシンプル。1階に国際線・国内線のチェックインカウンター、到着ロビーをワンフロアに集約。3階に保安検査場とコワーキングスペース、出発エリアを配置し、4階は展望デッキが整備されています。
国際線チェックインカウンターには、地方空港では珍しい乗客自身が預け手荷物を投入する「セルフバゲージドロップ」設備や、保安検査場では基幹空港のみに導入されている、一度に複数人が検査レーンを使用可能な「スマートレーン」など、“最先端”設備が備わっています。
「花道型」展望デッキ
ターミナルビル4階にある、滑走路側へせり出た「花道型」展望デッキ。中部国際空港(セントレア)の展望デッキと構造は似ていますが、ここではボーディングブリッジ(搭乗橋)一部区画の屋上までもが展望デッキとなっています。これにより、出発のためにプッシュバックする機体や、目の前の滑走路を離発着する機体を間近で見ることができます。
搭乗待合エリア
最大の見どころである保安検査場通過後の搭乗待合エリア。航空機搭乗客のみが利用できるこのエリアには26店舗もの飲食店、お土産ショップなどが出店しています。お寿司、コーヒー、ビールスタンドにも熊本ブランドの店舗がラインナップされているほか、あか牛、県産鶏の卵、馬刺し、阿蘇ミルクなどの定番熊本グルメも味わうことができます。三井不動産が株主であるため、商業施設運営のノウハウを生かした「お客さんが立ち寄りやすい」動線、デザインが工夫されています。
このエリアには「Lounge ASO」が設けられています。このラウンジは、航空会社カード会員、クレジットカード会員向けの全社共通設備です。提供される生ビールの無料杯数などに差をつけている以外は、すべての利用者が同じサービスを受けられます。熊本ならではラインナップとして、「球磨焼酎」を味わえます。
国内線搭乗待合エリアと、免税店を配置している国際線搭乗待合エリアは完全に分離されています。しかし、国際線利用者も食事やお土産を購入する際、ラウンジを利用する際は、国内線搭乗待合エリアに行くことができます。出国審査を受ける前に限られるものの、両エリアを繋ぐ専用の保安検査レーンを設けており、国内線搭乗待合エリアを満喫したのち、出国審査を受けて免税店などがある国際線搭乗待合エリアに向かうことが可能です。
◾️搭乗待合エリアで味わうおすすめ熊本グルメ
「PREMIUM TENTE」は、県産のフルーツ、野菜、ミルクなどを使ったフルーツパーラー。熊本城下の城彩苑にある本店と、空港内に出店。地元では、若い世代を中心に熊本のスイーツ界を牽引する存在とのことです。季節によって旬の果物を提供しているため、取材時のイチオシ商品は、「おにもりメロンソフトクリーム」。阿蘇小国ジャージーソフトも深い味わいを感じられ、おすすめです。
「菅乃屋」は、本場の馬肉料理を楽しめる専門店。市内にも店舗を持つほか、空港限定メニュー「馬刺しうまトロ高菜巻き」はテイクアウトも可能で、航空会社職員にも人気だとか。人気商品「菅乃屋特製馬スジたっぷりカレー」や、阿蘇の天然水100%仕込みの「ザ・プレミアムモルツ」と共に、搭乗前の時間に熊本の逸品を味わうことができます。
一般エリア
航空機利用者以外が楽しめるエリアとして、「花道型」展望デッキのほかに、現在は到着エリアに喫茶店と飲食店、コンビニ、お土産店がそれぞれ1店舗ずつあるのみ。そのため、見送り客や空港見学者も楽しめるよう、2024年秋ごろまでに商業エリアを拡充させる計画が進められてきました。予定地は、ターミナルビルに隣接する建物の1階に、商業エリアとして8区画をすでに準備済み。早期開業を望む声も多いことから、テナントとの契約が進み次第、2024年秋を待たずに順次開店することを計画しています。
また、この建物のさらに奥に「旧・国際線ターミナルビル」がありますが、ここも取り壊しを進め、地域の人が活用できる「地域にひらかれた広場」を整備することが決まっています。
国内線は、羽田・成田・伊丹・中部・小牧・静岡・那覇・天草線。国際線は、ティーウェイ航空によるソウル(仁川)線が毎日運航されています。9月1日からは、スターラックス航空による週5便の台北(桃園)線、9月18日からチャイナエアラインによる週2便の台北(桃園)線が運航予定で、更なる盛り上がりをみせる阿蘇くまもと空港。国内でも珍しい搭乗待合エリアの充実、また最先端の設備が導入されるなど、九州方面へ出かける際に熊本へ寄り道したくなるような魅力たっぷりの新ターミナルを擁する空港です。
次の記事では、気になる空港アクセスや、お土産の人気ランキング、「花道型」展望デッキの詳細などをお届けする予定です。