ANAの背面飛行で報告書、1名運航継続時の基本事項の徹底などを勧告

ANAの背面飛行で報告書、1名運航継続時の基本事項の徹底などを勧告

運輸安全委員会は2014年9月25日、当時のエアーニッポン運航の737-700、機体番号(レジ)「JA16AN」が2011年9月6日、一時、背面飛行した重大インシデントの調査について報告書を公表しました。これはANA140便として、那覇から羽田に向けて飛行していた際、串本の東69マイル、高度約35,000フィートで、機体が異常姿勢の状態となったもの。乗員乗客117名のうち、客室乗務員2名が軽傷を負いました。

この重大インシデントは、飛行中、操縦室に機長を入室させるため、副操縦士がドアロックセレクターを操作したつもりが、誤ってラダートリムコントロールを操作したことで発生したものです。スイッチの誤操作、さらに誤操作の認知が遅れ、回復操作が不適切、不十分であったことから、フライトレコーダ上では131.7度のロール、最大運用限界速度を超すマッハ0.828、最大荷重倍数限界2.5Gのところ荷重2.68Gを記録したものです。

操縦を担当していた副操縦士が2011年5月まで737-500に乗務、差異訓練と審査を経て6月から737-700に乗務し、その確実なスイッチ操作訓練が出来ていなかったこと、操縦室に1名になる場合の留意事項の制定・配布をANA、エアーニッポンでまとめられていなかったことなどを運輸安全委員会は指摘しています。差異訓練で、誤操作の可能性について注意がなかったことも挙げています。

これを受け、運輸安全委員会は1名で運航を継続する場合の基本事項の徹底、その教育を行うこと、高高度での失速警報などを伴う異常姿勢からの回復訓練、予期しないで発生する異常姿勢からの回復訓練の実施について回復操作を徹底するようANAに勧告しています。

ANAはこの報告書を受け、改めてお詫びを行い、ANAグループとして誤操作を誘発しやすいスイッチの調査を行い、定期訓練、定期審査の重点的な指導・審査項目に追加し、再発防止の取り組みを行っていると説明しています。

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