アメリカ空軍は、B-2スピリット・ステルス爆撃機の受領30周年記念の式典をアメリカ・ミズーリ州 ホワイトマン基地で2023年12月に開催しました。B-2は水平・垂直尾翼がない全翼機と呼ばれる形状で、ステルス爆撃機です。現役で20機が運用されているB-2のこれまでを振り返ります。
B-2の初飛行は、1989年7月17日にB-2スピリット初号機「機体記号:82-1066」がカリフォルニア州パームデールから離陸し、1時間52分後にエドワーズ基地に着陸。当初、初飛行は7月15日の予定でしたが、燃料系のトラブルのため延期されました。初飛行を担当したパイロットは、ノースロップ・グラマンの主任テストパイロットのブルース・J・ハインズとアメリカ空軍のリチャード・カウチ大佐でした。
引き渡しの初号機はB-2 スピリット・オブ・ミズーリ「88-0329」。式典が開催されたホワイトマン基地で1993年12月17日に引き渡されました。
B-2には1機ごとに愛称が付けられ、スピリット・オブ・アメリカ「82-1066」、スピリット・オブ・キティホーク「93-1086」と命名され、その他はスピリット・オブ・“州名”がつけられています。
B-2は非常に高価な機体であり、高額な維持費や冷戦終結などが重なり、132機製造の予定でしたが、試作機を含めて21機に留まりました。その内1機は2008年2月23日、アンダーセン基地からホワイトマン基地へ向かったスピリット・オブ・カンサス「89-0127」が離陸直後に墜落。幸いにも、搭乗員2名は射出座席によって緊急脱出し無事でした。事故調査の結果、原因はアンダーセン基地が所在するグアム島の高温・多湿な環境によるセンサーなどの電気系統トラブルと判明。その後、全機に対して湿度対策が施されています。
現在運用中の20機は、後継となるB-21レイダーに更新される計画です。B-21は2022年にロールアウトし、2023年11月に初飛行に成功しています。